30キロの壁やマラソン記録の伸び悩み、内臓疲労かもよ~ランニングを科学する㉝

tetsujin
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マイド、tetsujinデス。

ロボットに疲労はありませんが、人間には「疲労」の種類が3つあると言われています。ひとつは「肉体疲労」。筋肉痛などの疲労で身体を動かすと痛いので分かりやすい疲労ですね。次に「精神的疲労」。ストレスによって精神が疲労を感じている状況です。最後に「内臓疲労」。内臓疲労というと暴飲暴食で起きるイメージですが、マラソン等のハードなスポーツでも内臓疲労が起こるようです。そしてこの内臓疲労がパフォーマンスに大きな影響を与えるようです。今回はマラソンと内臓疲労についてレポートします。




1.内臓疲労の症状とは?

日常生活の中で、内臓疲労がおこると次のような症状がでるといわれています。

・寝ても疲れが取れない
・食欲不振
・全身がだるい
・やる気がおこらない

また、ランニングしている最中に内臓疲労がおこると次のような症状がでるようです。

・呼吸が苦しい
・練習でできていたペースで走れない
・足が動かない
・吐き気をもよおす
フルマラソンの後半(30㌔以降)では上記のような症状が出てくる方も多いと思います。一般的に「30㌔の壁」と言われていて、この壁をクリアするような練習(LSDなど)をやっているのに後半にペースが落ち込む方は、内臓疲労を疑うことも必要かと思います。

2.マラソン中に内臓疲労は何故おきるのか?

ランニング中に内臓疲労がおきる原因は次のとおりです。

2-1.内臓が揺れる
2-2.内臓への血流が悪くなる

2-1.内臓が揺れる

ランニングは長い時間、身体が上下に揺られている状態です。身体が上下に揺られると、当然に内臓も揺られる状態になっています。ちょうど乗り物(バスや電車)で揺られている様な状態です。体を動かしていないのにじっと座っているだけでも長時間となると疲れますよね。マラソンはこれと一緒です。だから、身体が揺れても内臓を支えるために「プランク」等の体幹を鍛える必要があるのですね!

体幹を鍛える方法はプランク!30キロの壁クリア~ランニングを科学する⑧
今回も⑦に引き続き、マラソンのパフォーマンスの要素のひとつである「ランニングエコノミー」についてのお話です。 2018年...

2-2.内臓への血流が悪くなる

安静時に「筋肉」に流れる血液は全体の20~25%と言われています。また「内臓(肝臓や胃腸)」にへの血液は35~40%です。
一方、マラソンをしている時には、「筋肉」に流れる血液は全体の約80%と言われています。「内臓」については、たったの約5%なのです。その結果、内臓が機能できず疲労してしまいます。

少なくともマラソン大会までには内臓を良い状態にしておきたいものですよね。




3.重要な内臓は「肝臓」と「胃」

3-1.沈黙の臓器「肝臓」について

肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、痛みを感じる神経がありません。血液検査などで数値に異常があり、肝臓に異常があることに気が付く事例が多いようです。
この様に、おとなしそうな臓器ですが、肝臓は人間の臓器の中で最も重く、男性で1.5㎏、女性で1.2㎏の重量があります。また、その働きとして細かく分類すると500種類の仕事をしている重要な臓器なのですが、主な仕事は次の3つになります。

①栄養素をエネルギーに変換
②胆汁を生成
③有害物質を分解

①栄養素をエネルギーに変換
私たちが飲食したものは、胃や腸で分解・吸収され栄養素が肝臓へ運ばれます。肝臓は、その栄養素をエネルギーに変換し全身に送っています。つまり、グリコーゲンを蓄え、エネルギーとして放出する機能があり、持久力が必要なマラソンには大切な臓器といえます。
②胆汁を生成
胆汁とは、脂肪分を分解・吸収するための消化液で1日に約1ℓの胆汁が肝臓で作られています。脂肪を燃焼してエネルギーに変えて走るマラソンには①と同様に大切な臓器です。
③有害物質を分解
例えばアルコールを摂取した場合、アルコールのままでは毒性が高いため、その成分を分解し無害なものへと変換しています。疲労物質も肝臓が分解してくれているのでスポーツには重要な臓器といえます。

3-2.おしゃべりな臓器「胃」について

胃は「おしゃべりな臓器」といわれ、ストレスでも胃が痛むことがありますよね。肝臓とはえらい違いです。胃は空腹時は平べったくぺちゃんこ。食物が送られてくると、胃壁が伸びて、風船のように膨らみ、容量は大人で1.5ℓ~2ℓにもなります。その働きは、

①胃液と蠕動(ぜんどう)運動による消化
②食物の貯蔵庫(殺菌・温度管理)
①胃液と蠕動(ぜんどう)運動による消化
胃液はpH1~2の強力な胃酸や、消化酵素などが含まれており、食物の消化の役割を担っています。胃液は、おいしそうな食物を見たり、においをかいだり、実際に胃に食物が入ってきて、刺激を受けて分泌されます。胃は伸び縮みの蠕動(ぜんどう)運動で食物と胃液をかき混ぜ消化する役割があります。
②食物の貯蔵庫
食事と食事の間に時間をおけるのも、胃が貯蔵庫になっているおかげです。食物といっしょに入ってくる病原菌などを殺菌、熱いものや冷たいものを腸に行かないように温度調節したりしています。胃に食物が残っている状態でマラソンなど激しいスポーツをすると、消化不良を起こすので注意が必要です。




4.肝臓と胃のケアについて

4-1.肝臓のケアの仕方

肝臓をケアする食事方法は「納豆+黒ゴマ」。「納豆」は肝臓の働きを助けるたんぱく質が豊富で、かつビタミンB2が含まれているので、脂肪燃焼作用と肝細胞の再生を促進が期待できるようです。また「黒ゴマ」はのビタミンEが含まれ、脂肪肝に有効であるようです。

また、食事後30分間、横になるのも良いようです(仰向けでなく、横です)。食べてすぐ横になると「牛になる」と言われそうですが、肝臓には血流が増加し栄養素が行き届くらしいです。そのまま寝てしまわないようにしてください。

ハードなトレーニングの後には「L-オルチニン」サプリで肝臓を労わることも大切ですね。私はこのサプリを愛用しています。

4-2.胃のケアの仕方

ランニングを行う「3時間前まで」には食事を済ませておきましょう。消化に時間がかかるので、胃に食物が貯まった状態では吐き気を催します。

胃にはできるだけ負担をかけないような食事方法が必要です。暴飲暴食を避けるだけではなく、「よく噛んで食べる」ことが重要です。よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防止できるのもうれしいですね。

特にケアしたいときは「キャベツ」を食べることがいいと思います。キャベツにはビタミンUが含まれ、胃の粘膜の補修してくれる効果が期待できます。ビタミンUは別名「キャベジン」と呼ばれ薬の商品名にも使われていますよね。またキャベツには、カルシウム(骨の形成)、ビタミンC(コラーゲンを生成し関節などを修復)、カリウム(痙攣を予防)などの成分が含まれており、ランナーには嬉しい成分が盛りだくさんです。



5.まとめ

からだのケアとして、筋肉や関節に違和感があるときはストレッチや湿布などでケアするランナーさんも多いと思いますが、内臓までケアできているランナーさんはどうでしょうか?「なんか調子がでない」、「走る気がしない」ときは内臓が疲労しているのかもわかりません。

また、マラソン大会で最大限のパフォーマンスを発揮するためにも日頃から内臓疲労に注目することも必要だと思います。マラソンで30㌔を過ぎたあたりから吐き気を感じたり、ジェルや水分を補給するのがツライ(体が受けつけない)のは内臓が疲労している証拠です。筋肉のストレッチだけでなく、内臓ケアで自己ベスト更新を目指しましょう!